技能実習を終えた外国人を、引き続き特定技能1号で雇用したいと考える企業は少なくありません。この移行では、一定の条件を満たすと技能試験や日本語試験が免除されるルートがあります。ただし、技能実習を経験した人なら全員が無条件で移行できるわけではありません。
企業が確認すべきなのは、技能実習の修了状況、実習した職種・作業と特定技能で従事する業務との関連、本人と企業の受け入れ要件です。試験免除の有無だけに注目せず、雇用契約、支援計画、在留資格の申請までを一つの手続きとして準備します。
技能実習から特定技能1号へ在留資格が自動で切り替わることはありません。引き続き同じ企業で働く場合でも、特定技能としての要件を確認し、必要な在留資格変更の手続きを行います。
技能実習は技能などの移転を目的とする制度で、特定技能は一定の専門性・技能を持つ人材を受け入れる制度です。制度上の目的と受け入れ要件が異なるため、技能実習中の契約や計画をそのまま特定技能に流用することはできません。
企業側も、技能実習実施者としての対応から、特定技能外国人の雇用主としての対応へ切り替わります。特定技能1号では支援計画を作成し、自社または登録支援機関を通じて必要な支援を実施します。
技能実習を一定の状態で修了し、実習した職種・作業と移行先の特定技能分野に関連が認められる場合は、技能試験と日本語試験が免除されるルートがあります。本人が技能実習で修得した技能と日本語能力を、一定の要件のもとで評価する考え方です。
重要なのは、「技能実習を修了した」という事実だけで判断しないことです。どの職種・作業で実習したか、どの特定技能分野・業務区分へ移るか、その対応関係が認められるかを確認します。
また、修了状況を示す資料や、技能実習時の評価に関する資料など、個別の証明が必要になることがあります。手元の書類だけで免除と決めつけず、出入国在留管理庁や分野所管省庁が公表する最新の対応関係、必要書類を確認してください。
技能実習の職種・作業と、希望する特定技能の業務に関連が認められない場合は、原則として移行先分野の技能試験と、求められる日本語試験の合格を確認する必要があります。
たとえば、本人が技能実習中に高い評価を得ていたとしても、別分野で必要な技能を自動的に証明するものではありません。採用予定の業務から逆算し、どの試験が必要かを特定します。
試験の名称、実施時期、申込方法、合格証明の扱いは分野や時期によって異なる可能性があります。民間の解説だけで準備を進めず、試験実施機関、出入国在留管理庁、分野所管省庁の一次情報を確認します。
なお、2027年4月1日に施行される育成就労から特定技能1号へ移行する場合は、試験合格が必要です。技能実習からの移行にある試験免除ルートと混同しないよう、本人がどの在留資格から移行するのかを明確にしてください。
試験免除または試験合格を確認した後は、特定技能としての雇用条件を整えます。担当業務、就業場所、労働時間、休日、報酬の決め方などを明確にし、本人が理解できる方法で説明します。
特定技能1号では支援計画が必要です。企業が自社で支援を行うか、登録支援機関に委託するかを決め、生活と就労に関する各支援の実施者、時期、方法を整理します。同じ職場で継続雇用する場合でも、技能実習中の支援体制がそのまま特定技能の支援要件を満たすとは限りません。
技能実習時に監理団体が関与していたケースでも、特定技能の支援を委託する相手は登録支援機関です。監理団体であることだけを理由に委託先とせず、登録支援機関としての登録と対応範囲を確認します。
必要な条件がそろったら、在留資格変更の申請を進めます。申請中であることだけをもって、特定技能としての業務を開始できるとは限りません。現在の在留資格で認められる活動、在留期間、特定技能として就労を開始できる時点を確認し、現場の配置日を決めます。
技能実習の終了日と特定技能での就労開始日が連続しない可能性も考慮し、住居、社会保険、生活費、社内手続きなど本人への案内を早めに行います。審査期間を企業側で決めつけた採用日程は避け、申請状況に応じて調整できるようにします。
許可後は、認められた特定技能の業務と実際の作業が一致するよう、現場責任者にも内容を共有します。移行前と同じ職場であっても、担当作業が適切かを改めて確認してください。
確認結果は採用担当だけで保管せず、配属先と支援担当にも共有します。
技能実習から特定技能1号への移行では、関連する職種・作業など一定の条件を満たせば、試験免除となるルートがあります。一方、関連が認められない場合などは、移行先に必要な技能試験と日本語試験の合格確認が必要です。
いずれの場合も在留資格は自動で切り替わりません。企業は、免除または合格の根拠、雇用条件、支援計画、申請、就労開始時期を順に確認します。対応関係や必要書類は更新される可能性があるため、手続き時点の出入国在留管理庁、分野所管省庁、試験実施機関の一次情報を確認してください。